数学力は維持?:SaLP
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数学力は維持? [日記・雑記]

 asahi.comこの記事に、日本の理系高校生の基礎的な数学力は30年前とあまり変わっていない、と書かれていました。

 ただし、2005~2008年度でやや正答率が落ちていること、記述形式の問題を苦手にしていることは挙げられています。

 

 

 あまり変わっていないというところが驚きですが、それよりも私が言いたいのは、「記述が苦手傾向にある」という現状です。

 

 これは間違いなく「センター試験」による影響だと思っています。現在の入試形式は、センター試験と各大学の試験の合計が入試の結果となって現れるというのがオーソドックスですが、このセンター試験が問題なんです。先ほどの記事では数学に関して書かれていたのでそれに絞って書きますが、センター試験の数学はとにかく時間が勝負。いかに速く、正確に答えを出すかがポイントになっています。

 ただ、私はこのやり方に非常に疑問を持っています。速くかつ正確に解くというのは重要な事だとは思いますが、それが行きすぎて論理的なものはないがしろにしてしまって構わない、というものが見え隠れしているセンター試験はどうにも納得がいきません。問題があるとして、その問いを解く方法は証明できなくてもただ答えが出ればOK。それがセンター試験です。

 しかも、論理的思考が要らない、パターンだけ覚えれば勝ちという問題が一次試験だということは、これに失敗する人はいくら数学的な思考を出来る人でも、相当なハンディを負うか、狙った大学には入れないという事態を引き起こすことになりかねません。

 

 

 これは私の通う大学で実際にあったことですが、「(円の一部分の)弧の長さはどう表せるか」というどうでも良い問題・・・まあ、こんなのはただ授業に参加しているかどうかを教授が見たんだと思いますが、それがとある学生に当てられました。答えは半径をr、弧を作る部分の中心角をθとすれば"rθ"になるわけですが、これがすぐに「分かりません」ですよ?

 とはいえ・・・

 

 

 

 

 

 私も馬鹿なんで分かりません(^^;;

 

 でも、こんなので分からないのは癪なので、私は考えます。円周の長さ(θ=2πの時の弧の長さ)は小学校で習ったとおり直径×3.14・・・つまり直径×πです。で、θが2πなので(直径÷2)×(2π)になるわけです。直径の半分は半径であり、2πはθなので、変形すると(直径÷2)×(2π)=rθになるわけです。これは「一般解」なので、これでどんな弧の長さでも求められるようになります。

 

 勉強はこうやって考えるのが面白いと思うんですが・・・と思わずにはいられません。ただ、私はこの学生さんを責める意図で例を挙げたわけではありません。「考える」という行為は日頃からやっておかないといざというときに出来ない、ということを言いたいのです。しかし大学受験でまず壁となるのは「パターンを覚えるだけ」のセンター試験で、それを越えないと次がないわけですから、受験生はまず必死にセンター対策をするはずです。それでは思考力は養われないわけですよ。

 

 

 まだ大学1年次で実際の現場でどうなのかは知りませんが、考える力がない人間が現場で必要なのかなと疑問に感じたので書きました。だからといって、ちょっと考えられるだけで弧の長さも小学校まで遡らないと分からない私なんか企業は要らないと思いますが(爆)

 

 というわけで今回は今のセンター試験の形式に疑問を感じている、というお話でした。


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セラミック

>考える力がない人間が現場で必要なのかな
考えるのは一握りの人間だけがやればいいので
多くの人間は速く正確に解くことができればいいんですよ、奴隷ですから。

・・・・・・行き過ぎた論はおいておくとしても
本当に考える力のある人は、きっと必死にセンター対策をやらなくても
思考力で論理力を応用してセンターでいい点を取れると思うのですよ。
もちろんパターン暗記でもある程度の点は取れるでしょうけど
考える力がなく、暗記だけの人で9割超えるような人はほとんどいませんし。
なのでセンター試験の形式というよりも、センター試験ばかりに目を向ける
大学なり受験生なりが問題だと思います。
特に大学、私立大学のセンター利用なんてのは楽してできる金儲けでしかない
だけど受験生にしてみれば、センターのマークさえできればあの有名大学に!
のようになる。この原因としては全入とかいろんな問題があるのでしょうが
さすがに長いのでやめときます。

まとめますと、形式うんぬんよりもそれを利用する方の受け取り方が問題である。
さらに言えば、それをそうさせる社会の状況が問題である、と言えるでしょう。
by セラミック (2009-01-25 01:36) 

Virgo

センター試験という名だと、難解なものを速度で解かせる方向性に変わってしまってるんだ?

うーーん、遙か彼方に別の名前の時に受けたけど、1次の数学は難しくする意味が・・・・・

まぁ、むしろ数学を使わずに算数で解けのほうがよろしいのでは、2次でね。

国語の教え方が酷いからなぁ、今は。
by Virgo (2009-01-25 03:48) 

nonbiri

>しかも、論理的思考が要らない、パターンだけ覚えれば勝ちという問題が一次試験だということは、これに失敗する人はいくら数学的な思考を出来る人でも、相当なハンディを負うか、狙った大学には入れないという事態を引き起こすことになりかねません。


今、胸にグサッてきました(^^;
by nonbiri (2009-01-25 08:30) 

みみちゃん

こんにちは。
まとめ訪問で申し訳ありません。
俺は実は、三次元技術で飯を食ってた時期があるんですが。
数学を勉強したのは社会人になってからです;;;。
by みみちゃん (2009-01-25 21:27) 

Chris

私は文系なので数学はさっぱりさんですが、
論理的な思考で物事を考えるのが数学の本質だと思います。
早く解ければいいのでは、それはゲームですよね。
by Chris (2009-01-26 00:35) 

moonrabbit

現場では(トラブル→解決策)の連続ですから、
機転の効かない奴・応用力のない奴は淘汰されます。(^^;
by moonrabbit (2009-01-26 07:14) 

arkstar

私は、小さい会社を渡り歩いているのですが(倒産がその理由ですが ^_^;)
小さい所だと、物凄く色々なことを考えないといけない場面が多いですねぇ。
タマに致命傷になることが有りますから。

でも学校の勉強は基礎になっても実戦ですぐ使えない事の方が多いんですよねぇ。
この辺りも頭を使う部分と思います。
by arkstar (2009-01-26 20:30) 

Riever

>セラミックさん、nice!、コメントありがとうございます
セラミックさんは文系でしたよね。すみません、理系の側面で記事を書いてしまったので文理の違いで状況もだいぶ変わってくるんだとは思います。

理系の仕事は車でも家電でもインフラでも何でも、ちゃんと考える力がないと大変なことになりかねない側面があると思っています。

センター試験を利用することで楽になるという私立の思惑というのは多分あるでしょうね。個別の試験にせず開放的なセンターにすることで(より偏差値の高い)国立を目指している人の受け皿になろうというのはあるでしょうから。全入時代とはいえより使える人間を取りたいと思うのは当然ですから、これはあるんだと思います。
by Riever (2009-01-28 00:27) 

Riever

>Virgoさん、nice!、コメントありがとうございます
>センター試験という名だと、難解なものを速度で解かせる方向性に変わってしまってるんだ?
何回と言うほどではなくて、ちゃんと教科書レベルをしっかりと理解していれば取れる問題ではあるんですが、理解していなくてもテクニックさえ持っていれば解けるという側面もあるのがちょっと問題です。
これは元々高校までの勉強の教え方がまず暗記、というところがある点と繋がってきますが・・・
そもそも私は高校までのカリキュラムがおかしいと思っています(爆)

>うーーん、遙か彼方に別の名前の時に受けたけど、1次の数学は難しくする意味が・・・・・
Virgoさん年がバレますよ(笑)

>国語の教え方が酷いからなぁ、今は。
国語も問題だと思っています。教え方はともかく、絶対的な時間が足りないという点で非常に問題です。そのうえ小学から英語教育、ですか?
英語が分かる前に日本語が分からないとどうしようもないんじゃないかと、これについてはひどく疑問に感じています。国語も増やすなら分かるんですけどね。

最近は・・・私が「最近は」というのは(年齢的に)おかしいですね(^^;;
・・・私と同じくらいの年代の人でも、それなりに「言われたことを理解できていない」人は多いです。言葉が分からないと相手が何を言いたいのかも分かりませんし何を考えているかも分からないんじゃないかと思っているので、国語に関してはもっとみっちりやって欲しいと思っています。

「ゆとり教育の被害者」が言うので間違いないでしょう。ゆとりも何も、子どものうちは特に適応能力が高いので、ちょっとくらいハードにしてもすぐ対応できるんですけどね。それにようやく気づいてきたのかも知れませんが・・・
・・・ちょっと時間が掛かりすぎたかなと思わなくもありません。
by Riever (2009-01-28 00:38) 

Riever

>nonbiriさん、nice!、コメントありがとうございます
nonbiriさんのことを考えていたときにこのニュースを見たので、そう感じられるのは仕方がないです(^^;;
気を落とすことはないと思いますよ。大学は中間点、問題は入ってから何をするかです。仮に学歴不足になったとしても、大学院を受けるなり、再び大学に行くことも可能ではありますから。
by Riever (2009-01-28 00:41) 

Riever

>みみちゃんさん、nice!、コメントありがとうございます
忙しいときや体力的に辛いときは無理をなさらぬように。それでストレス溜まったりして暴飲暴食になったら大変ですから。

数学勉強したのが社会人からですか!
・・・うーん、世の中広いですね。やろうと思えば何でも出来ると言うことでしょうね。
by Riever (2009-01-28 00:43) 

Riever

>Chrisさん、nice!、コメントありがとうございます
>論理的な思考で物事を考えるのが数学の本質だと思います。
私もそう思っています。こういう事を書いている辺り、私は工学より理学の方が近いんじゃないかと思わなくもないですが、それでも工学は譲れませんでした。
ものをつくることの素晴らしさに気づいたのは中学の頃ですが、それ以前に理系になることは小学の頃から決めていましたから、ある意味必然だったかなと。高校でも(推薦の)大学受験前には、どの分野に行くか相当悩みましたが、後悔はしていません。
実は推薦で受けたのは今とは違う分野だったんですが、結局落ちて正解だったかなと。今でもたまに落ちたことは揶揄されたりしますが(笑)、私としてはむしろ落ちた方が良かったと思っているのでそれは笑って流せますね。

つい話が逸れました(^^;;
>早く解ければいいのでは、それはゲームですよね。
私はセンター自体がゲームなんじゃないかと思っていたりします。テクニックという裏技は卑怯ですから。二次試験では証明しないと点数にならないテクニックが、何も知らないでもセンターでは使えるというのには相当な違和感を覚えます。
まあそれでも受験生が皆同じ条件ではあるので不公平ではないとは言えますが、公平不公平よりも今後自分のためにならないんじゃないかなと感じます。
by Riever (2009-01-28 00:51) 

Riever

>moonrabbitさん、nice!、コメントありがとうございます
理系はやはりそうですか。
私は自分で機転は利くと思っているので、それは絶対的な強みだと思っています。

まあナルシーと言われればそれまでですが、自己分析能力があると言うことでご勘弁を。
・・・って、これもナルシーですね(爆)
by Riever (2009-01-28 00:53) 

Riever

>arkstarさん、nice!、コメントありがとうございます
倒産は仕方ないですよね。今はいつどこが倒産するか分からない世の中ですし。

致命傷で思い出しました。最近某大手HDDメーカーの製品の不具合がありましたが、その対応が結構ずさん(と言いますか、本社でアナウンスはあったものの、日本法人からのアナウンスが未だにない状態)でした。
それでいつも(企業が何らかのアクシデントに見舞われたら私はとりあえず株価を見ます)のように株価を見てみたら下がる下がる。

これは理系の対応ではないですが、参考にはなる事象だなと思って見ていました。

実践で使えないのは理系ならどこでも一緒だと思います。社員で研修が長いのでしょう。大学(院)までで学べることが全てなら誰も苦労はしませんからね。
by Riever (2009-01-28 01:03) 

Riever

>かつぽんさん、ぞうさん、yasさん、oyazzyさん、hankyu8200さん、nice!ありがとうございます
by Riever (2009-02-03 00:38) 

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