MDR-EX500SL Review No.2『音質編』:SaLP
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MDR-EX500SL Review No.2『音質編』 [Sony製品:Headphones]

 大変お待たせしました。MDR-EX500SLの音質レビュー、始めたいと思います。

 レビューの前に一つ注意です。音質レビューは私の主観100%で行っています。また、絶対的な特徴よりも他機種と比べた相対的な違いを主に書いていきます。耳の形や聞こえ方は人それぞれなので、このレビューを鵜呑みにして購入された方、違うじゃないかと文句は言わないでください。もちろん根拠のない文句ではなく、批判はどしどしコメントしていただいて構いません。

 私が音質レビューをするときは必要に応じて、音の高さを「超低音」、「低音」、「中音」(中域)、「高音」、「超高音」の5つに分け、「超低音」と「低音」をまとめて「低域」、「高音」と「超高音」を「高域」、音全体を「音域」や「帯域」と表現します。レビューに使用するプレーヤーはHi-MD WalkmanのMZ-RH1で、Linear PCM 1411.2kbps(2ch,16bit,44100Hz)形式のもので行っています。

 

 さて、MDR-EX500SLですが、レビューは先代となるMDR-EX90SLはもちろん、上位機種のMDR-EX700SL、下位機種のMDR-EX85SLおよびMDR-EX300SLと、(Bluetooth対応モデルやネックストラップモデル、MDR-EX082などの亜種を除く)すべてのN・U・D・E EX monitorを比較対象にしていきたいと思います。本当はMDR-EX082やMDR-NX3も持っているのですが、あまり音の傾向が変わらない点や、これ以上負担が増えると非常に苦しい点で亜種は比較しません。ご了承願います。なお、MDR-EX85SLに関しては大きな個体差が確認できているので、やや低音寄りのMDR-EX85SL(ブラック)、高域重視のMDR-EX85SL(バイオレット)の二つを使用します。MDR-EX85SLを使用されている方は自分が使っている方で近いものを参考にしていただけると良いでしょう。

 

 ・・・緊張すると文章が真面目臭く、堅くなってしまうんですよ(^^;;;
もうちょっと緩い感じで行きたいです(笑)

 

 

 まずはMDR-EX300SL同様、製品仕様からご紹介です。

 

MDR-EX500SL

  • 形式(形状):密閉ダイナミック型
  • ドライバーユニット:口径13.5mm(CCAWボイスコイル採用)
  • 最大入力:200mW
  • インピーダンス:16Ω
  • 音圧感度:106db/mW
  • 再生周波数帯域:5~25000Hz
  • コード長:約0.6m、OFCリッツ線
  • プラグ:金メッキステレオミニプラグ
  • 質量:約5g

 

 MDR-EX300SLと比較すると、最大入力が100mW→200mW、周波数帯域が24,000Hz→25,000Hz、感度が105db/mW→106db/mW、質量が約6g→約5gと変化しているのが分かります。最大入力、周波数帯域などほとんどのスペックがMDR-EX85SLとMDR-EX90SLとの関係に酷似しています。質量に関しては今までとは異なり、上位機種であるMDR-EX500SLが軽くなっている記述ですが、1円玉一枚分の重さは私には分かりませんでした(^^;;

 

 実際の使用感としては、MDR-EX500SLがMDR-EX700SLを除くすべてのN・U・D・E EX monitor機種より音が大きいです。これはしっかりとした装着感によるものなんでしょうが、実際どこまで仕様の測定がしっかりしているかは疑問なのでどうでも良いところではありますね。ヘッドホンの仕様(特に周波数帯域と感度)ほどアテにならないものはありません(爆)

 

 

 最初はMDR-EX500SL単体での評価。音の傾向ですが、低音と高音にピークがあり、若干ドンシャリ気味です。その中でも高域の方が目立ちます。また高域は非常に鋭く、硬い音で、約20年モノで十分にエージングがなされたと思われるMDR-CD900よりも硬いです。MDR-CD900のは経年劣化なのかも知れませんが(爆)、とりあえずそんな印象です。高域は非常に鋭いこともあり、サ行の音はかなり刺さるので慣れない方は辛いかも知れません。

 と、音色的にはモニター色が強いものの、高音や低音の量が多いので一概にモニターライクとは言えない印象を受けました。音楽ジャンルはMDR-EX90SL同様、どんなものでも聴けるようですが、MDR-EX90SLのほうがそつなくこなします。

 

 

 続いてはN・U・D・E EX monitor他機種との比較を行っていきます。

 

 初めは先代のMDR-EX90SLとの比較です。

 音のバランスはMDR-EX90SLの方がフラットで局部的に持ち上げることなく出ている点に対し、MDR-EX500SLは単体での評価同様高音や低音が強調されていて目立ちます。またMDR-EX90SLではそこまで硬くなく、聴きやすかった高音でしたが、MDR-EX500SLは非常に硬いです。

 開放感ではMDR-EX90SLが勝っており、MDR-EX500SLは低域を中心に籠もっており、MDR-EX90SLを長く使っていた方にとって辛い部分ではあると思います。ただ高域に関しては非常に頑張っており、MDR-EX90SLと同等までは行かないものの非常に高レベルで争っている感じです。

 ここまで読むとMDR-EX90SLが単純に優れているようにも見えますが、そこは新機種。MDR-EX500SLが勝る点も当然存在します。まずは低域の表現力。ドライバーユニットのサイズは13.5mmと変わっていないものの、MDR-EX500SLは低域の発音にある程度余裕が見られます。また特筆すべきなのは超高音の解像度と分解能。MDR-EX90SLの超高音では音が荒く雑に表現されていましたが、MDR-EX500SLはそれがかなり低減されています。非常に分かりにくいんですが、よく聴いてみたり長い間愛用していた方には分かるはずです。また、高域の音が複数出た場合、MDR-EX90SLではごちゃごちゃと破綻してしまうことがありましたが、MDR-EX500SLではそちらもしっかり音ごとに分かれてきっちり鳴っているようです。

 

 

 続いてフラッグシップのMDR-EX700SLとの対決。この2機種間では、まず音のキャラクターが違うので同一に比べるのは野暮なような気もしますが、「N・U・D・E EX monitor」としてSonyは出してしまったので否応にも比較されざるを得ません。いや、本当は個人的に比較したいだけなんですが(爆)

 

 まず一聴してすぐに分かるのはMDR-EX700SLは誰が聴いても一発で分かるほど非常に籠もっている点です。MDR-EX500SLとは比較にならないほど籠もっており、この点では確実にMDR-EX500SLが勝っています。

 また、音の傾向としてMDR-EX700SLは非常に艶やかかつ柔らかい音をしているのに対して、MDR-EX500SLは非常に締まった硬い音に仕上がっている点で正反対と言っても良いでしょう。

 

 音のバランスはMDR-EX700SLの方が低域寄り。MDR-EX500SLは高域がやはり目立ちます。

 MDR-EX700SLが優れている点は二つ。一つ目は低域で、低域に関してはドライバーユニットが16mmと大きいためか、MDR-EX700SLの方が下のレンジ(超低音)までしっかり鳴らしてくれます。また、高域もMDR-EX700SLの方が分解能が高いです。

 方向性の違いはあれ、MDR-EX700SLとMDR-EX500SLは、すべての状況でMDR-EX500SL<MDR-EX700SLとなっているわけではなく、MDR-EX500SLが優れている点は多いと思います。

 

 

 続いてMDR-EX85SLとの比較。

 MDR-EX85SLに関しては前述の通り個体差が大きいので黒(ブラック)青(バイオレット)を対象にしていきたいと思います。

 まずは共通する比較点。
MDR-EX500SLの方が感度が高く、密閉度が高いので音が大きいです。また、遮音性も段違いでMDR-EX500SLが勝っています。音の傾向はMDR-EX500SLの方がずっと硬く、相対的にはMDR-EX85SLが柔らかく感じます。当然解像度や分解能などの音質面はMDR-EX500SLが優れています。

 

 続いて黒(ブラック)と比べてみましょう。
MDR-EX500SLの方が低域、高域ともに量が出ており、解像度や分解能も高いため比べるまでもありませんが、密閉度が高い分開放感という点では劣ります。ただし高域のみにフォーカスするとあまり変わりません。

 

 対して青(バイオレット)との比較。
は高域重視ですが、MDR-EX500SLは高域の透明度、解像度が高く、よりも量は多く感じます。ただし低域の籠もりがネックとなるので開放感はの方が上でしょう。

 

 

 最後に、下位機種のMDR-EX300SLと比べてみます。

 音のバランスはMDR-EX500SLの方が上下にピークがあり、偏っています。また、装着感としての開放感はほぼ同等ながら音場など表現力が高い分MDR-EX500SLが開放的です。

 価格がほぼ半分になる下位機種という関係上、MDR-EX500SLの方が透明度で勝り、解像度や分解能も高く、すべての面で勝っているといっても差し支えないと思います。ただ、MDR-EX500SLはMDR-EX300SLと比べた場合でも音が硬いので、その点は注意かも知れません。MDR-EX300SL先に音質レビューをしたようにMDR-EX85SLと酷似した印象があるので、そちらの方を参考にしていただければより違いが分かると思います。私としてはMDR-EX300SLとMDR-EX500SLで悩んだら、生楽器系など聴けるレベルでないMDR-EX300SLよりも、上位機種のMDR-EX500SLを購入されれば後悔はしないと思いますのでMDR-EX500SLを是非お勧めしたいところです。

 

 

 

 と、レビューはこんなところでしょうかね。少し急いで書いていたので同じことを繰り返しているようなところもありますが、何せ聴き比べる対象が多く大変でした。MDR-EX90SLとは明確に差があるモデルだったのでMDR-EX300SLのレビューよりは楽でしたが、量があった分書くのに4時間は掛かりました。

 そろそろ3時間睡眠が常態化してきてかなり大変になってきましたが、精一杯レビューはしたのでこれで少しゆっくり出来そうです。ただMDR-EX300SL、MDR-EX500SLの『感想編』は書きたいと思います。こちらは好きに書くので私としては楽しい時間ですね(爆)

 

 それでは、ここでMDR-EX500SLの音質レビューを終わりたいと思います。

 

 

 

-MDR-EX500SLのレビュー一覧-


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コメント 13

spin@片桐凛

レビューお疲れ様です。
EX500は硬質な音&ドンシャリですか…どんどん私の好みじゃなくなってきてる気が…。
鋭さなど赤帯に近い点はあるのかもしれませんが。
by spin@片桐凛 (2008-10-08 09:39) 

セラミック

レビューお疲れ様です(^_^

硬めな音ということはRieverさんの好みではあるんでしょうか?
まぁ、方向性が変わってるのようなのでEX90の生産終了が悔やまれますね。
by セラミック (2008-10-08 10:01) 

麦茶

レビューお疲れ様です。
高域が鋭く、刺さりますか、、、。ちょっと辛いかも、僕にはorz
ただEX90できしめんことtrue my heartなんて聞くともうごっちゃごちゃなのを考えると、たくさん高音が出たときでもごちゃごちゃしないって言うのは魅力的ですね。

まぁ、なんだかんだ言っても買うとは思うんですがね(爆
by 麦茶 (2008-10-08 19:08) 

Enzo

レビューお疲れさまです。。
N・U・D・E EX全機種比較ですか(^^;
すごい気合(?)ですねw
やっぱり、EX500の方が300より勝っていますね(当たり前か。
個人的にはEX500を買ってみたいんですが、「赤」がないんですよねぇ・・・
EX300にはあるんですが(^^;
でもシルバー(?)も高級感ありそうですねぇ~
うーむ 悩む~~!
by Enzo (2008-10-09 17:48) 

benoit

EX500のレビュー、お疲れ様です。
僕の方は、SA6に浮気してしまったためEX500はキャンセルしてしまいた。
ただ、レビューを読ませていただく限りは、EX90を持っていれば良いかなという感じでしょうか。
by benoit (2008-10-09 19:03) 

Riever

>spin@片桐凛さん、nice!、コメントありがとうございます
好みは選ぶと思います。合わないと音が硬くてすぐに聴き疲れしてしまうでしょうし、このドンシャリ感は少し不自然なので。
とりあえずぼちぼち量販店で試聴できるようになると思うので、試聴から始めた方が良いと思いますね。
by Riever (2008-10-10 19:10) 

Riever

>セラミックさん、nice!、コメントありがとうございます
私個人的には好みも好み、EX700が半年でさようならの事態に陥っています(爆)
EX90と併売だったら選択肢が出来て非常に良かったと思いますが、総合的に考えてEX500の方が優れていると思うので生産完了も分からなくはないかなといった印象です。
EX90が欲しい人は量販店の売り尽くしで買うしかないでしょう、6000円とか5000円くらいで買えるかも知れませんし(爆)、そうきつくはないはずですから。
by Riever (2008-10-10 19:13) 

moonrabbit

レビュー、乙です。ヾ( ̄ω ̄
上が硬過ぎると分解能的にはいいですが、
聞き疲れてしまう可能性もありますよね。
900ST以上となると。。。
やっぱりEX90に行っておいた方がいいかなぁ。。
って、その前にごちょごちょ安物買って遊んでいますが。www
by moonrabbit (2008-10-10 19:15) 

Riever

>麦茶さん、コメントありがとうございます
true my heartは高域の量としてベンチマークにはぴったりですね。私は初音ミク版とNICCO Remix版しか(wavで)持っていないので、NICCO Remix版を聴いてみましたが、完全にごちゃごちゃしないというわけではないです。ただEX90と比べたら確実に進化しているとは思うので、その点を評価できます。

買っちゃいますか。EX90を持っていても後悔はしないと思います。聴き比べてみるのも面白いと思いますよ。
by Riever (2008-10-10 19:19) 

Riever

>Enzoさん、コメントありがとうございます
N・U・D・E EX monitor機種、全比較しました(^^;;
本当はEX300との比較のみにするつもりだったのですが、リクエストありましたし、受け入れた以上やるときはやります。連日のレビューで今週は朝起きるのも、授業中寝ないのもしんどかったですが、やって良かったとは思っています。

EX300とEX500は明確にEX500でしょうね。EX300は(EX85にもあった)この価格帯特有の解像度の低さがあるので、それを比べると一目・・・一耳瞭然(笑)です・

私としては(EX85からの乗り換えならなおさら)色を諦めてでもEX500をお勧めしますが、見た目を重視するか中身を重視するかは私が決めることではないのでじっくり悩んでください(爆)
by Riever (2008-10-10 19:25) 

Riever

>benoitさん、コメントありがとうございます
SA6、フランジと言い価格と言い、ER-4Sに真っ向から挑んでいますよね。コストパフォーマンスが非常に良いといわれるER-4Sと比べてどうなのかが非常に気になります。
あ、さすがに買いませんよ、ER-4Sは買うかも知れませんが、あの価格帯は容易に手が出せませんから。

装着感などもありますし、個人的にはEX90よりEX500の方がずっと好きですが、こればかりは好みだと思います。万人に勧められるわけではないですね、EX500は。
by Riever (2008-10-10 19:30) 

Riever

>moonrabbitさん、nice!、コメントありがとうございます
聴き疲れは硬いのが苦手な人はそこそこすると思います。私はこの音が好きで長時間聴いても大丈夫だったのですが、連日聴いていたら突然耳が痛くなりました。まったく気づくの遅いです(笑)

私のCD900はCD900STではなく、86年から製造された初代モデルですが、CD900STより硬くはないと思います。CD900STは以前ヨドバシで試聴したことがあったのですが、そこでは痛くて30秒我慢できませんでしたし。

>って、その前にごちょごちょ安物買って遊んでいますが。www
最近私もこれの面白さが分かってきてしまいました。
やっぱり・・・趣味なんですかね(爆)
by Riever (2008-10-10 19:35) 

Riever

>takemoviesさん、かつぽんさん、ぞうさん、Virgoさん、nice!ありがとうございます
by Riever (2008-10-14 00:14) 

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